
新設住宅着工件数は低水準が続く今は買い時か?資材高騰金利上昇の影響を整理
新設住宅着工件数が低水準で推移し、戸建住宅や賃貸住宅の着工も伸び悩む状況が続いています。
資材高騰や人件費の上昇に加え、金利上昇の影響も重なり、住宅購入をご検討されている方にとって判断が難しい局面と言えます。
しかし、だからこそ今の動き方次第で、将来の住まいと家計の負担は大きく変わります。
本記事では、新設住宅着工件数の最新動向から、戸建住宅と賃貸住宅の変化、資材高騰や金利上昇が価格や選択肢に与える影響まで、順を追って整理します。
そのうえで、無理のない資金計画を考えながら、いつ・どのように住宅購入を検討すべきか、具体的な視点をご紹介します。
これからの一歩を安心して踏み出すための参考にしてみてください。
新設住宅着工件数の低水準と最新動向
国土交通省の建築着工統計によると、新設住宅着工戸数は長期的に減少傾向が続いています。
特に近年は年間80万戸前後の水準からさらに落ち込み、2025年には年間約74万戸と70万戸台前半となっています。
これは、1970年代のピーク時と比べて大きく水準を切り下げた状態が続いているということです。
人口減少や世帯構造の変化、住宅価格や建築費の上昇など、複数の要因が重なり、新設住宅の供給そのものが縮小している状況です。
直近数年の推移をみると、新設住宅着工戸数は、2020年前後の80万戸台から、足もとでは70万戸台前半へと段階的に減少しています。
内閣府の経済報告でも、住宅投資の先行指標となる新設住宅着工戸数が、建築費の上昇や高止まりの影響を受けて弱含んでいることが指摘されています。
2023年以降は、建築費の負担感が強い中で需要が慎重化し、2024年半ば以降もおおむね横ばい圏で推移していると整理されています。
このように、かつてのような100万戸近い着工が見込める局面ではなく、低水準での推移が常態化しつつあるといえます。
利用関係別にみると、注文住宅、賃貸住宅、分譲住宅はいずれも直近では減少傾向にありますが、特に減少が目立つのが持ち家です。
近年のデータでは、戸建て着工戸数は20万戸前後まで縮小しており、前年から2桁近い減少率となる年もみられます。
一方、賃貸住宅と分譲住宅も減少していますが、賃貸住宅は相対的に水準を維持しつつ、分譲住宅はコスト面での優位性から下げ止まりつつあるとされています。
その結果、全体としては賃貸住宅の構成比がやや高まり、持ち家系(注文住宅と分譲住宅)の比率がじわじわ低下する構図になっています。
| 区分 | 直近の傾向 | 特徴的なポイント |
|---|---|---|
| 全体着工戸数 | 70万戸台前半水準 | 長期減少と低水準定着 |
| 注文住宅 | 20万戸前後まで縮小 | 減少幅大きい構図 |
| 賃貸住宅・分譲住宅 | 減少しつつも構成維持 | 貸家比率やや高まり |
新設住宅着工戸数が低水準にとどまっていることは、住宅購入をご検討されている方にとっても重要な意味を持ちます。
まず、供給される新築住宅の絶対数が減ることで、エリアや条件によっては選択肢が限られやすくなります。
また、建築費や資材価格の上昇により、販売価格が下がりにくい中で供給量が絞られると、物件によっては価格交渉の余地が小さいケースも出てきます。
その一方で、中古住宅やリフォーム済み住宅への関心が高まり、長期的には中古市場の拡大や価格差の明確化が進む可能性もあります。
注文住宅・賃貸住宅の着工動向と住宅購入への影響
国土交通省の統計によると、新設住宅着工戸数は長期的に減少傾向が続き、注文住宅の着工は特に減少が目立つ水準になっています。
直近では、注文住宅が年20万戸前後で伸び悩み、数年前と比べて大きく落ち込んでいます。
背景には、人口減少や単身世帯の増加に加え、実質賃金の伸び悩み、物価高による家計負担の増加などが重なり、住宅取得に踏み出しにくくなっている事情があります。
さらに、税制や住宅取得支援策の縮小・見直しもあり、かつてほど強力な後押しが働きにくくなっていることも、戸建住宅着工の歴史的低水準につながっています。
一方で、賃貸住宅の新設着工は持ち家より戸数自体は多いものの、数年前の水準からは減少ないし足踏みが続いています。
新設住宅全体の中で貸家の構成比は高いものの、家賃水準の上昇や生活費の増加によって、戸建住宅取得をあきらめて賃貸にとどまる世帯が増え、賃貸需要は底堅い状況です。
しかし、建設費や金利の上昇で利回りが圧縮され、事業としての採算が厳しくなっているため、貸家の供給を積極的に増やしにくい面があります。
このように、需要は強いにもかかわらず供給が伸びにくい構図が、新設貸家の着工を抑える一因になっています。
戸建住宅・賃貸住宅の着工動向は、これから住宅購入を検討される方の住まい選びにも大きく関わります。
まず、新築戸建ての着工が低水準で推移すると、新築の選択肢は徐々に限られ、希望条件に合う物件を見つけにくくなるおそれがあります。
同時に、賃貸住宅の着工も伸びにくい状況が続くと、賃貸住宅の空室余力が小さくなり、家賃の下がりにくさや、条件の良い物件の競争激化につながりやすくなります。
そのため、新築にこだわるのか、中古住宅やリフォームを含めて幅広く検討するのか、あるいは一定期間は賃貸を継続するのかといった選択を、家計状況と今後のライフプランを踏まえて、より計画的に比較検討することが重要になっています。
| 区分 | 最近の着工傾向 | 住宅購入への影響 |
|---|---|---|
| 戸建住宅 | 着工減少で歴史的低水準 | 新築選択肢の限定化 |
| 賃貸住宅 | 需要堅調だが供給伸び悩み | 賃貸家賃の下がりにくさ |
| 住まい選択 | 新築・中古・賃貸の再検討 | 長期的視点で資金計画 |
資材高騰・人件費上昇が住宅価格に与える影響
近年は建築用木材や鉄鋼製品などの建設資材価格が大きく上昇し、その水準が長く続いています。
日本銀行の企業物価指数などによると、建設資材関連の価格は新型感染症流行期以降に急伸し、その後も高止まりの傾向にあるとされています。
背景には、世界的なインフレや主要資源の需要増加に加え、為替相場における円安の進行があり、輸入依存度の高い資材ほど影響を受けやすい状況です。
さらに、建設分野では人手不足を背景とした賃金上昇も続いており、国土交通省の公表する公共工事の設計労務単価は毎年引き上げが行われるなど、人件費面でもコスト増加が定着しつつあります。
このような資材価格や人件費の高騰は、建設会社の工事原価を押し上げるため、新設住宅の建設費用全体にも影響が及んでいます。
建設工事費デフレーターや建設資材価格指数の推移を見ると、建築工事全体のコスト水準は以前よりも高い状態が続いていると整理されています。
工事費が上昇すると、建築主である事業者側は販売価格への転嫁を検討せざるを得ず、結果として新築住宅の販売価格も上昇しやすくなります。
また、採算が取りにくい案件を見送る動きが広がることで、建築工事全体の着工抑制につながり、新設住宅着工件数の減少要因の一つになっていると指摘されています。
資材高騰局面で住宅購入をご検討されている方にとっては、まず建物本体価格の内訳と標準仕様の内容を丁寧に確認することが重要です。
同じ価格帯でも、断熱性能や耐震性能、設備グレードなどに差が出やすい局面であるため、仕様と価格のバランスを比較しながら検討する必要があります。
あわせて、工事途中の追加変更に伴う増額や、資材価格の変動を理由とする見積額の改定条件など、契約時の取り決めも事前に確認しておくと安心です。
長期的な維持管理費や光熱費の削減効果も踏まえ、初期費用だけでなく総支出の視点から判断することで、資材高騰下でも納得感の高い住まい選びにつながります。
| 確認すべき項目 | 主なチェック内容 | 注意しておきたい点 |
|---|---|---|
| 標準仕様の水準 | 断熱性能や耐震性 | 同価格帯他物件との比較 |
| 見積もりの内訳 | 資材費と人件費の構成 | 値上がり時の負担範囲 |
| 契約条件の内容 | 追加工事と変更手続き | 追加費用発生時の上限 |
金利上昇局面での住宅購入タイミングと考え方
最近は長期金利の上昇に合わせて、全期間固定型の住宅ローン金利がじわじわと高くなる傾向が続いています。
住宅金融支援機構が取り扱う長期固定型の指標金利は、ここ数年で最低水準から約1%前後の上昇幅となっており、新発10年国債利回りもマイナス圏から1%台に達する場面が増えています。
こうした長期金利の上昇は、住宅ローン返済額の増加要因となるため、持ち家取得の負担感が高まり、新設住宅着工件数や持ち家需要を冷やす一因になっています。
その結果、マイホーム取得をためらう方が増える一方で、将来のさらなる金利上昇を心配して検討を前倒しする動きもみられます。
金利が上昇する局面では、毎月返済額だけでなく、完済までの総支払額に着目することが大切です。
同じ借入額・返済期間であっても、例えば金利が1%台前半から2%台へ上がると、総支払額は数百万円単位で増える場合があります。
さらに、建築資材価格や人件費の上昇が建設単価や販売価格を押し上げているため、「物件価格の上昇」と「金利負担の増加」の両方を合計したトータルコストで比較する必要があります。
そのうえで、自己資金の額や返済期間の設定、将来の収入見通しを踏まえ、無理なく返済できる総支払額の上限を先に決めておくことが重要です。
今後の金利や物価の動きについては、金融政策や世界情勢など多くの要因が影響するため、正確な予測は困難です。
そのため、住宅購入のタイミングを「金利や価格の底」を狙って判断するのではなく、自身の家計の安定性やライフプランを軸に考えることが現実的です。
具体的には、将来の教育費や老後資金を確保したうえで、住宅ローン返済比率が手取り収入の一定水準を超えないよう資金計画を立て、金利が変動しても生活が圧迫されにくい返済余力を確保しておくことが大切です。
そのうえで、固定金利か変動金利か、あるいは両者を組み合わせるかといった金利タイプを比較し、自分のリスク許容度に合った選択を行うことが望ましいです。
| 確認すべき視点 | 主なチェック内容 | 意識したいポイント |
|---|---|---|
| 総支払額の把握 | 金利別総返済額試算 | 金利上昇時の増加額 |
| 家計への影響 | 返済比率と生活費 | 将来収入変動への備え |
| 金利タイプの選択 | 固定型と変動型比較 | 金利変動リスク許容度 |
まとめ
新設住宅着工件数は戸建住宅・賃貸住宅ともに低水準で、資材高騰や金利上昇が重なり、住まい選びは一層むずかしくなっています。
一方で、新築だけでなく中古や賃貸を含めた選択肢を比較すれば、ご家族のライフプランに合う最適な答えは必ず見つかります。
大切なのは、物件価格だけでなく、住宅ローンの総支払額や将来の収支も含めて冷静に判断することです。
当社では、最新の市場動向と豊富な相談実績をもとに、無理のない資金計画づくりから住まいの選び方まで丁寧にサポートいたします。
今の状況で購入すべきかお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。