
空き家問題と相続トラブル
~空き家対策特措法の改正で「管理不全空家」にも注意~
近年、日本では空き家の増加が大きな社会問題となっています。
総務省の住宅・土地統計調査によると、日本の空き家は年々増え続けており、
今後さらに増加すると予測されています。
そして、その空き家の多くは相続がきっかけで発生していると言われています。
さらに最近では、空き家を放置するリスクが以前よりも高くなりました。
その理由の一つが、**空き家対策特別措置法の改正(2023年)**です。
今回の改正では、新たに**「管理不全空家」**という区分が設けられました。
今回は、空き家問題と相続トラブル、そして改正された空き家対策特措法について分かりやすく解説します。
①空き家は相続から生まれることが多い
空き家が発生する典型的なケースは次のようなものです。
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親が亡くなり実家を相続した
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子どもはすでに持ち家がある
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住む予定がないためそのままにしている
この「とりあえずそのまま」が、将来大きな問題につながることがあります。
人が住まなくなった住宅は、急速に老朽化していきます。
例えば
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屋根や外壁の劣化
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雑草や庭木の繁茂
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害虫や害獣の発生
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不法投棄
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近隣への悪影響
といった問題が起こることもあります。
こうした空き家が増えたことで、国は空き家対策特別措置法を制定し、さらに近年法改正が行われました。
②法改正で新しくできた「管理不全空家」
これまでの空き家対策特措法では、危険性の高い空き家は
**「特定空家」**として指定されていました。
例えば
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倒壊の恐れがある
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著しく衛生上問題がある
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景観を損なっている
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周辺住民に危険が及ぶ
といった空き家です。
しかし、特定空家になる前の段階でも、管理が不十分な空き家が多く存在していました。
そこで法改正により新たに設けられたのが
**「管理不全空家」**です。
管理不全空家とは
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適切に管理されていない
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将来的に特定空家になる可能性がある
と自治体が判断した空き家のことです。
つまり、**「危険になる前の段階から自治体が指導できる」**ようになりました。
③固定資産税が最大6倍になる可能性
空き家を所有している方が特に注意したいのが固定資産税です。
通常、住宅が建っている土地には
住宅用地の特例があり、固定資産税が軽減されています。
しかし、
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特定空家
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管理不全空家(勧告を受けた場合)
になると、この特例が解除される可能性があります。
その結果、土地の固定資産税が
最大で約6倍
になるケースもあります。
つまり、空き家を放置しているだけで
税金の負担が大きく増える可能性があるのです。
④相続トラブルで放置される空き家
空き家問題は相続トラブルとも深く関係しています。
よくあるのが、実家を共有名義で相続するケースです。
例えば兄弟3人で相続した場合
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売りたい人
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残したい人
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判断を先送りにする人
など意見が分かれ、結局
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売却できない
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解体もできない
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管理する人もいない
という状態になり、空き家が長年放置されてしまうことがあります。
さらに時間が経つと
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相続人が増える
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権利関係が複雑になる
など、問題の解決がさらに難しくなります。
⑤空き家を「負動産」にしないために
最近では、不動産が資産ではなく
**「負動産(ふどうさん)」**になってしまうケースも増えています。
空き家を放置しないためには、早めの検討が大切です。
例えば
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売却する
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賃貸として活用する
-
解体して土地として活用する
など、状況に応じてさまざまな選択肢があります。
⑤大切なのは「住まいの終活」
空き家問題の多くは
相続が発生する前の話し合いで防ぐことができます。
例えば
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実家を将来どうするのか
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誰が相続するのか
-
売却する予定はあるのか
こうしたことを家族で話し合っておくだけでも、相続後のトラブルを大きく減らすことができます。
最近では、こうした準備を
**「住まいの終活」**と呼ぶこともあります。
⑥まとめ
空き家問題は
-
相続
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税金
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法律
が複雑に関わる問題です。
さらに空き家対策特措法の改正により
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特定空家
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管理不全空家
といった制度が整備され、空き家を放置するリスクは以前より高くなっています。
「まだ大丈夫」と思っていても、放置することで
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税金の増加
-
修繕費の負担
-
近隣トラブル
につながる可能性があります。
将来ご家族が困らないためにも、
実家や空き家の将来について早めに考えることが大切です。
